川柳の部：
噫無情勝負の世界ダルと翔
ユニコーンが導く先は未踏の地
現代の武蔵小次郎一騎討ち
隼人（ペンネーム）‘24.10.15
一の矢の傷癒えぬままニの矢来る
大雨にニの句が継げぬ能登の街
日本の地起伏織り成す山と河
隼人（ペンネーム）‘24.10.01
補聴器をはずせば秋の黙かな
子の刻に巣だく虫の音窓閉める
就寝は何時ですかと虫に問う
隼人（ペンネーム）‘24.09.15
予報円明日のいく先賽投げる
コンコース勝てば官軍旗の波
台風が一気に夏を押しのける
隼人（ペンネーム）‘24.09.01
住所録処処に消した跡
孫とハグ骨軋むほど抱き締める
音痴には縁もゆかりもない音符
隼人（ペンネーム）‘24.08.15
五輪特集ということで六句。
セシボンと五輪の空に鳴り響く
セーヌ川河畔彩る万国旗
ボンジュール期間限定プーチンヘ
金メダル美酒に乾杯ナポレオン
漱石もエッフェル塔からパリ眺む
めざせ金あれがパリの灯武者震い
隼人（ペンネーム）‘24.08.01
ハワイ勢モンゴル勢に押し出され
給料は二ヶ月毎の年金日
熊牧場エサのおねだり芸の内
隼人（ペンネーム）‘24.07.17
老いの知恵自力他力の積み重ね
駅ピアノ次なる舞台駅俳句
身の丈にあった人生可も不可も
隼人（ペンネーム）’24.07.01
風呂好きな喫水線は顎のとこ
災害は刻を選ばず二十四時
瓦斯と水電気も欠けりゃヘレンケラー
隼人（ペンネーム）’24.06.15
人生の片道キップ黄泉の駅
断捨離は気合いと共に手を離す
マス席の金星ながめテレビ席
(金星は相撲隠語で美人。)
隼人（ペンネーム）’24.06.01
名刹に襖絵描く画家の価値
葬ること平気の平左KGB
ドローンの経済効果果てしなく
隼人（ペンネーム）‘24.05.15
ドローンの利用目的善と悪
餅つきの出前業者がいた昭和
モナリザはペンキかけられ薄笑い
隼人（ペンネーム）‘24.05.01
死に地でもソーラーパネル生きる道
足湯には大根の華白々と
ヘリポート命をつなぐ離着陸
隼人（ペンネーム）‘24.04.15
今日この日年度末にて大晦日
力士見て束の間の笑み能登の人
力士らは三年先の四股を踏む
隼人（ペンネーム）‘24.04.01
背にあるボランティアの字躍動す
慰問風呂心と体まったりと
能登路には鬢つけ油慰問する
隼人（ペンネーム）‘24.03.15
目覚めるとヘップパーンのお出迎え
キャンプイン大言壮語今のうち
誕生日四年に一度貴重な日
隼人（ペンネーム）‘24.03.01
賀状くる印刷だけの無表情
乱れ飛ぶロスの空にはドル紙幣
シルバーのマークを避ける高齢者
隼人（ペンネーム）‘24.02.15
秘密ですピンコロ行きの処方箋
終焉はそのうち来るさ泰然と
茶の字には煩悩の数隠れてる
隼人（ペンネーム）‘24.02.01
頷くも心どこかえ上の空
貧しくて母の助太刀屋台骨
カラオケに健さん偲ぶ男伊達
隼人（ペンネーム）‘24,01.15
村八分二分だけ残す情け道
掠めとるロシアの十八番(おはこ)大地主
同窓会見分けができぬ半世紀
隼人（ペンネーム）‘23.12.15
真知子巻き知っているのは深い皺
出来立ての十七文字を一夜干し
栗ご飯自分で装うしたり顔
隼人（ペンネーム）‘23.12.01
お互いに介護せぬよう合言葉
囲碁将棋角力と違う待った無し
苦虫がどんな姿か見たくなる
隼人（ペンネーム）‘23.11.15
ジャッジする人に画像がジャッジする
本漁るまだ詰められる知識欲
返納は戸籍抹消その折に
隼人（ペンネーム）‘23.11.01
駅に街に止まり木癒すピアノ弾き
当たり前のようにロハで大花火
幸せの目安がわかる笑い皺
隼人（ペンネーム）‘23.10.15
本めくる昭和の名残り指なめる
知覧茶で特攻隊を偲び飲む
戦争の語り部最早希少価値
隼人（ペンネーム）‘23.10.01
筍もヤブもお医者を愚弄する
振り返る自問自答の長い坂
事故に臥す止まったままの姉の道
隼人（ペンネーム）‘23.09.15
腹八分五分控えても死にはせぬ
人の知恵借りてばかりで世を渡る
十字路は互譲の心お先にと
隼人（ペンネーム）‘23.09.01
天と地と四方八方夏盛り
合わぬ人夢の中でも腰が引け
花火席寸志の謝礼御賽銭
隼人（ペンネーム）‘23.08.15
子も孫も同じ景色の通学路
掛け湯せず湯船に浸かる無粋者
団地にて行き交う人は翁媼(おうおうな）
隼人（ペンネーム）‘23.08.01
人生の知恵が詰まった旧翁(ふるおきな)
大谷の試合に合わせ寝起きする
借りた恩二合の利子で恩返し
隼人（ペンネーム）‘23.07.15
じゃまたねと軽いサヨナラそれじゃねと
フレイルに意を介しないど根性
万感の思いがめぐる大花火
隼人（ペンネーム）‘23.07.01
飼い主とよく似た風情連れの犬
寝た名札起こさぬ方が国の為
すれ違う勝った負けたの老い比べ
隼人（ペンネーム）‘23.06.15
雨上がりゆったり散歩尺蚯蚓
OB会誰が来るのか玉手箱
ブレーキとアクセル交互人生譜
隼人（ペンネーム）‘23.06.01
非常食使わぬことの有りがたさ
風に揺れタクトふるよな雪やなぎ
震度ゼロ軟着陸の落椿
隼人（ペンネーム）‘23.05.15
サプリより大谷の笑み元気でる
乾電池縁のしたでは功労者
馬手にペン弓手に辞書のひもすがら
隼人（ペンネーム）‘23.05.01
ブラボーも飽き性族に掻き消さる
缶蹴りは土の匂いの風物詩
年配者シルバーマーク隠してる
隼人（ペンネーム）‘23.04.15
厨には音と匂いのハーモニー
芋届く土の香りと志し
腹這って作句と眠気四つに組む
隼人（ペンネーム）‘23.04.01
眉間には皺を作れる基地がある
プーチンの愛読作家トルストイ
俄シェフ妻の手ほどき夜の膳
隼人（ペンネーム）‘23.3.15
食卓に並ぶ馳走の迷い箸
谷あいのガードレールに感謝する
辛い字も一字違いで幸となる
隼人（ペンネーム）‘23.3.01
湯タンポの行方を探す長い脚
人生の百名山はあと何座
双葉山遅れて立ったその極意
隼人（ペンネーム）‘23.2.15
枕元止まったままの栞ひも
ブラボーが村神様を凌駕する
脱ハンコ約束だよとハンコ捺す
隼人（ペンネーム）‘23.2.01
先々で消毒液がお出迎え
口角の角度が変わる口喧嘩
本捲る乾いた指にウェット紙
隼人（ペンネーム）R5.1.15
体調を整えて待つ松の内
柿すだれ待ってる人の顔浮かぶ
手作りの正月飾り原価ゼロ
隼人（ペンネーム）令和5年元旦
立ったままズボン穿けると自慢する
舶来と聞こえはいいがシシャモ食む
リニューアル誰かが着てたワンコイン
隼人（ペンネーム）12.15
カタールにサムライブルー煌めいた
子の刻に奇声をあげた日本人
ドイツ戦喰って喰われたコスタリカ
隼人（ペンネーム）12.01
有事なればわかる平時のパラダイス
生きざまは十人十色カメレオン
忘れても蛇口を閉めてくれる妻
隼人（ペンネーム）11.15
一芸に秀でるものがない旅路
朝七時ｶﾌｪにいっぱい軽車両
給食費払えず一人ブランコへ
隼人（ペンネーム）11.01
逸ノ城そこは無理です躙り口（にじり口）
盛り塩に牛も飲んべも暖簾押す
チャイム鳴る宅配便の里の味
隼人（ペンネーム）10.15
耳聡く目聡く生きる余生まで
マイペース裏を返せば好き勝手
無呼吸と言われていまだある命
隼人（ペンネーム）10.01
石橋を青でも叩く交差点
お悔みの欄の目先は歳を見る
ジャージーが今の私のユニホーム
隼人（ペンネーム）9.15
コロナ禍で近くて遠い白い街
癒えぬ傷特効薬は時間だけ
マス席に正座の華が色添える
隼人（ペンネーム）9.01
片田舎免許返せば達磨さん
備蓄した生活の知恵小出しする
おはようと活きた匂いを取りかわす
隼人（ペンネーム）8.15
優しさも棘も出てくる同じ口
生活の智恵は夫婦の鳩首会
人生は予知のし難いミステリー
隼人（ペンネーム）8.01
奈良の地で太子も鹿も臍を噛む
店の外うまそに燻らす紫煙族
補聴器の力を借りて輪の中へ
隼人（ペンネーム）7.15
共白髪錨おろした舫い船
言いそびれ声にできずに腹の底
三坪の地産地消は無農薬
隼人（ペンネーム）7.01
便利さに大枚はたくクルマ族
男女の差同じやもめも明と暗
積ん読が徐々に読まれた引籠り
隼人（ペンネーム）6.14
露の人にゴルゴ13差し向ける
内憂も外患ともにロシア発
トルストイの曾孫難民受け入れる
隼人（ペンネーム）6.01
ティーバッグ茶柱の夢打ち砕く
喧嘩して尾を引かぬのが共白髪
ルノアール肥満の裸婦がお気に入り
隼人（ペンネーム）5.13
カレー指し三日分よと妻旅行
夫婦仲補強工事で息つなぐ
林立の破竹が醸す兵馬俑
隼人（ペンネーム）5.01
広辞苑脳に詰めたいあの中身
一芸を磨かぬ付けが今回る
一年を十日で過ごす桜花
隼人（ペンネーム）4.14
真夜中の腓返りで知った文字
孤独にもよき孤独あり詰め将棋
正直に映す鏡に曇る顔
隼人（ペンネーム）3.31
板挟み挟んだ方は気づかない
喜びも悲しみもある里帰り
控えめに主役を立てる隠し味
隼人(ペンネーム)。